―WONDER MAKER―(プロローグ)
プロローグ
剣と魔法の世界――アエル。
世界地図に記された五つの大陸と数千の島々は――大森林や洞窟、砂漠や雪原のような――多様な地形に彩られ、その土地には――人間、エルフ、ドワーフ、獣人など――多くの種族が精霊たちと共存し、各地を拠点とする数々の王国は何十何百もの城や町を築き上げ、剣と魔法の力によって人類は大いなる発展を遂げていた。
……というのは、あくまで世界の表の顔である。
世界に住む人類は、大きく三つに分けられる。
有史以前から、世界各地の大陸や島々に暮らしていた――『人間族』。
人魚、エルフ、獣人のような独自の身体的特徴を持つ――『亜人族』。
そして。
この世に〝剣と魔法の世界〟という異次元を創造した――『魔法族』。
今から千年前の話。
天空島から地上の世界に降り立った魔法族は、全世界の大陸&島々をまるでRPGのように次々と冒険――否、次々と侵略し、瞬く間に世界制覇を成し遂げた。
たった七日間の出来事だ。
……その結果、世界の姿は大きく変わり果てる。
それまで人間族と亜人族が共存した〝愛と平和の世界〟の全てが崩壊し、新たに魔法族が支配する〝剣と魔法の世界〟が誕生したのだ。
全人類は魔法族の手によって古き秩序を終わらせ、新たな歴史を歩み出し、今に至る。
時に。
歴史は人類に生きることの本質とは何かを物語る。
『弱肉強食は世の真理である』と。
圧倒的な力の前では、誰しもが無力である。
本能と欲望の赴くままに暴れ回る強き者に対し、弱き者は為す術もなかった……。
ある者は言った。
『人間族は魔法族には勝てない』と。
だが、そんな定説が一部の人間族の間で覆されたのは、今からちょうど三年前。
とある賞金稼ぎの青年が世に広く名を揚げたことに始まった。
青年の名はロミオ。
人間族として生まれながら〝魔法〟すら霞む程度の超人的な怪力を誇り、名のある凶悪な賞金首を次々と撃破していく超一流の凄腕賞金稼ぎだ。
単独で大物賞金首に挑んだ回数は百二十三回、その中で魔法族相手に挑んだ回数は六十八回。
勝負の結果はいずれも彼の連戦連勝。向かうところに敵はなし。
あまりに華々しいその戦績に、彼の実力を疑う余地もなく、まさに怪物級と呼ぶにふさわしい伝説的存在だった。
千年もの長い年月の間、人間族が誰一人として敵わなかった絶対王者、魔法族。
その無敵の牙城を崩した人間族の青年ロミオは、いつしか〝英雄〟と呼ばれていた……。
――物語の舞台は、世界地図の最東端にある島国『ネバーランド』。
この不思議な島国から〝英雄〟ロミオの新たな伝説が始まる。

